Local Art Project

地域発アートコミュニティ拠点

エリア : 南相馬

テーマ : コミュニティ / その他

プロジェクト概要

2012年3月から南相馬市の臨時災害放送局「南相馬ひばりエフエム」パーソナリティーを務め、被災したさまざまな人の話を聞くうちに、ご自身も南相馬市小高区に移住して暮らしはじめた小説家の柳美里さん。彼女が店長を務める本屋「フルハウス」では、今後多方面への展開を予定しています。毎週土曜日にゲストを招きイベントを開いたり、劇団の運営をしたり、コミュニティカフェを開いたり......。そういった多様な活動の根底には、原発事故後帰還率二割と人口が激減してしまった南相馬市小高区に、賑わいを取り戻したいという想いがあります。
まずは、劇団の立ち上げやイベント運営に関わる様々な業務を行いながら、アーツマネジメントの前提となる知識・経験を積んでいただきます。米国では一定のスタンダードを持った職能として位置づけられているアーツマネージャーの日本におけるあり方を模索し、柳美里さんの挑戦に伴走しながら、アイデアを形にしていける人をお待ちしております。

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目指す未来

・地域で街の本屋・劇場が存続するビジネスモデルの確立
・心の豊かさに寄与するアートを気軽に楽しめる社会
・アートを通じて様々な人とつながりを持てるコミュニティ形成

求める人材

・本、演劇など、広く芸術文化への興味と情熱があること
・芸術家や関係者の調整役として、突発的な対応や要求を実現する粘り強さがあること
※劇団制作の経験があると尚可

パートナー

柳美里(作家 / フルハウス店長)

1968年生まれ、神奈川県横浜市出身。18歳で演劇ユニット「青春五月党」を旗揚げ、1993年「魚の祭」で岸田國士戯曲賞受賞。1996年「フルハウス」で泉鏡花文学賞、野間文芸新人賞受賞。1997年「家族シネマ」で芥川賞受賞。東日本大震災の1カ月後から南相馬に通い、2012年3月から臨時災害放送局「南相馬ひばりエフエム」パーソナリティーを務める。2015年4月に南相馬市に移住。2017年春に開校した小高産業技術高校の校歌を作詞(作曲は長渕剛)。2018年4月9日に本屋「フルハウス」開店。

インタビュー

地域の文化的な拠点を継続・発展させていくこと<作家 / フルハウス・柳美里>



ー南相馬でのこれまでの関わり・取り組みを教えて下さい。


「ダム銀座」と呼ばれる福島県南会津郡只見町で中高時代を過ごした母から、ダムの底に沈んだ街の話を繰り返し聞かされていました。そのダムも、東京電力福島第一原発と同じく、関東に電力を供給するために作られたものです。
2011年3月11日に東日本大震災と原発事故が起こり、4月22日の0時をもって原発から半径20km圏内を「警戒区域」とする発表を見た時、その話を思い出したんですね。「警戒区域」として閉ざされる前なら街を見ることができると思い、4月21日に富岡や浪江や小高を見て回りました。それから何度か南相馬に通っているうちに、臨時災害放送局のチーフディレクターである今野聡さんとお会いする機会がありました。
今野さんと話し合い、地元の方の話を聞く「ふたりとひとり」という番組を2012年3月から放送開始し、約600人もの方にご出演いただきました。実際に生活の中で感じる苦しみを聞く中で、自分も暮らしてみないとわからないことがあるのではないかと思うようになり、南相馬へ移住することに決めたのです。



ーこれまで関わられた中で南相馬にどのような可能性を感じていらっしゃいますか?


文化的な厚みがあると感じています。フルハウス開店から一か月が経ちましたが、売れた本のランキングも、いわゆる売れ筋とは違うものになっています。高校生がスティーヴン・ミルハウザーの本を買ってくれたり、プラトン『メノン』が何冊も売れたり。本に限らず演劇など、どんな表現でも受け入れていただける土壌だと思いますね。



ーパートナーとして、本プロジェクトにどの様な思いや狙いがありますか?


小高の交流人口を増やしたいです。JR常磐線の本数の少なさも、見方を変えれば、フルハウスや劇場に訪れてくださった方々が、小高神社や大悲山などを見て回るきっかけになるかもしれません。



ー本プロジェクトのやりがいや苦労はどのあたりにあると思われますか?


劇団制作の現場は厳しい世界です。師弟関係のようにかなりコミットしていただく必要がありますが、経験がなくても芸術文化、とくに演劇や言葉に対して情熱がある方なら、やりがいのある仕事だと思います。



ー本プロジェクトを通して、南相馬で描く未来はどのようなものですか?


いままでも確固たる未来像に向かってきたというよりも、色んな人の縁をたどってここまで来たように感じます。その時々でいただいた話や縁を大事にして、ベストを尽くすことが、結果的にこの土地の為になる、ということが理想ではないでしょうか。



ー本プロジェクトで伴走する起業家に期待する事を教えて下さい。


第一に、情熱があること、です。加えて、劇団制作の場面では、様々な非常事態にも粘り強く対応していく忍耐力や対応力も求められます。義務感で頑張るというよりも、地域の文化的な拠点を継続・発展させていくことを面白がってやれる人であれば、ともに乗り越えていけるのではないかと思います。