Terroirge

森里海のテロワージュ・ブルワリー

エリア : 南三陸

テーマ : フード / コミュニティ

プロジェクト概要

お酒と食事の組み合わせをマリアージュ、そこに地域の雰囲気や風土を示すテロワールをかけ算して、テロワージュという新たな食のムーヴメントが、東北からはじまっています。
南三陸で獲れる牡蠣、ホヤ、タコ、ホタテなどの海産物やニンニク、カブ、ネギなどの農産物はワインのみならず、ビールにも合うものが多く存在します。海が見え、漁港を目の前にした中心市街地はブルワリーの持つ独特な存在感とマッチして、町の新たな雰囲気を作り上げるのにぴったりでしょう。南三陸ならではのテロワージュ文化を創り発信するために、サスティナブル・ワイナリーに続く市街地活性のキラーコンテンツとして、地元産のクラフトビールを製造/販売する新たなブルワリーを立ち上げます。またブルワリーに併設して南三陸の森里海とのテロワージュを担うレストランを立ち上げることも検討可能です。
初めは外国産のホップを使って品質の良いビールの製造を目指し、同時進行で地元でのホップ栽培に向けた準備と栽培を推進。地元産ホップでのビール製造を目指します。
<業務内容>
1年目:ビール醸造の基礎を修得。地域メンバーと共にビール関連イベントの企画や運営。
ブルワリーのコンセプトや事業計画の立案とブラッシュアップ。
2年目:1年目に立てた計画を具体化します。(物件探し、資金調達、販売先開拓、免許申請開始など)引き続き醸造技術の修得、地域でのイベント企画/運営
3年目:開業。同時にホップ栽培についての検討と、地域農家の巻き込みを開始。

-条件-
活動支援金:166,000円/月
※社会保険、雇用保険、住宅補助、自動車貸与あり、コワーキングスペース使用可

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目指す未来

・市街地のキラーコンテンツとしてブルワリーが存在し人を引きつけている
・南三陸産のビールが町の人にも観光客にも愛される存在となっている
・南三陸産のホップで作られたビールが完成している

求める人材

醸造家、ブルワリー経営者(各1名)
ビールを醸造する責任者となる醸造家、マーケティングと経営を担う経営者の2名を募集します。単独の応募もチーム(醸造家+経営者)での応募もOKです。
・クラフトビール醸造を学び、3年以内にマイクロブルワーとして起業を目指す方
・クラフトビール醸造だけでなく、地域全体の未来を考え、そのための役割を果たせる方
・起業マインドがあり、探究心に溢れ、新しいことに挑戦できる方
※醸造、酒造等の経験は問わない

パートナー

田村淳一(遠野醸造/株式会社BrewGood)

和歌山県出身・32歳。2009年に新卒で株式会社リクルートに入社。住宅分野の新規事業の収益化と拡大、地場大手不動産会社に対する経営コンサルティングを担当。2016年にリクルートを辞めて岩手県遠野市に移住し、地域への起業家誘致と育成に取り組む。2017年には株式会社遠野醸造を設立し、翌年春に遠野駅前にビール醸造所兼レストランを開業。ホップとビールによるまちづくりの推進、新たな産業創出、他地域のブルワリー立ち上げ支援のために2018年10月に株式会社BrewGoodを創業。また、一般社団法人NextCommonsLabのメンバーとして、ビールや岩手だけにとどまらず全国各地のプロジェクトにも関与。

インタビュー

クラフトビールで起業したい人必見!遠野の田村淳一が教えるブルワリーの魅力
<遠野醸造/株式会社BrewGood・田村淳一氏>



南三陸町は、2019年4月に「森里海のテロワージュ・ブルワリー」プロジェクトを推進するメンバーの募集を開始しました!

そこで今回は、本プロジェクトのアドバイザーである田村淳一さんに、学生ライターの小泉がお話を伺います。田村さんは一般社団法人Next Commons Labの理事でありながら、岩手県遠野市で「遠野醸造」の取締役を務めています。また、株式会社BrewGoodを昨年立ち上げ、遠野市のビールプロジェクト全体をプロデュースしたり、他地域のブルワリー立ち上げを支援するなど、ブルワリーを拠点に様々な活動をする仕掛け人です。

日本のローカルブルワリー界に新しい風を吹かせつつある彼に、クラフトビールやブルワリーの魅力、おもしろさ、そして南三陸のブルワリーにはどんな可能性があるのか教えてもらいました。

(た=田村淳一さん・こ=小泉)



「ビールは自由だ。」


こ:今回田村さんにお話を伺うということで、私もクラフトビールについて勉強してきました。ビールは好きでよく飲みますが、ペールエールにスタウトにIPAなど本当にたくさんの種類があるんですね。

た:お酒の中でも特にビールは多様性があって自由だと思います。小泉さんの想像を遥かに超えるレベルで何でもあります。木の香りを付けたビール、バジルや唐辛子のビールなんてのもあるんです。

こ:そんなビールがあるんですねえ。私にとってビールはすごく身近な、手軽で間口が広いお酒という印象があります。

た:最近は海外産のクラフトビールなど価格が高いものも流通している印象はありますが、乾杯するときの手軽さはやっぱりありますよね。フランクで自由なのがビールの面白いところです。シャンパン酵母を使ってみたり、ウィスキー樽やワイン樽で寝かせてみたり、他のお酒との垣根すら超えていけるような自由さがビールにはあります。

こ:私にとって旅行の醍醐味は食べることと飲むことなので、そういう面白いビールが行く先々にあったらそれはもう幸せです。

た:そうですよね。あと、日本酒やワインを料理と合わせるっていうのがありますが、ビールにはまた違う料理との合わせ方があると思うんですよね。例えばお寿司に、すだちや大葉を使ったビールを合わせるとか。

こ:あ!副原料の素材自体と料理で組み合わせを作っているんですね。

た:そうです。ペアリングという言い方をして、最近ではみんな色々やり始めているんですけど、そういうことができてくるんですよ。いわゆるワインに合うフレンチとかイタリアンに限らず、もう少しフランクに楽しめるような料理とお酒の合わせ方みたいな。そうするとバリエーションがさらに広がりますよね。

こ:自由で多様性がある、かつ手軽さを持ち合わせたビールだからなせる業ですね。

た:そうなんです。そしてこれはホップ生産地ならではの楽しみ方ですが、夏には手摘みしたホップをビールにそのまま砕き入れて飲んだりするんです。ホップの香りと苦みがぐっとアップして最高ですね。





こ:ホップ生産地だからこその特権ですね。ホップ生産は大変だと聞きましたが。

た:その通りです。3年たってようやく十分な収量が取れるようになったり、収穫後はすぐに鮮度が落ちてしまったり。うちではホップ農地とブルワリーが近いので、夏にはホップ班と醸造班に分かれて、醸造班がホップを投入する手前までの作業をし、タイミングを合わせてホップ班が収穫したホップを生のまますぐに投入するということをしました。出来上がったビールはとっても美味しくて好評でした。自社で生産したフレッシュなホップを使うために、ブルワリーの近くにホップ畑を作るところも増えています。

こ:ビールには色々な種類があるだけでなく、たくさんの楽しみ方があるんですね。



クラフトビール✕まちづくりでできること





こ:野菜やフルーツ、他のお酒など様々なものとコラボできる、その自由さがビールとまちづくりを結びつけやすくするポイントなのでしょうか。

た:そういう側面はあると思います。ホップという原材料だけだと農産物にしかすぎませんが、それがビールとなると広がりが出ます。例えば遠野では、伝統芸能を鑑賞しながらビールを楽しんだり、地域の食材を副原料に使ってビールとコラボしたりと。遠野醸造ではこれまで、地域でとれたはちみつや果物を使ってみたことがあります。

た:また、アメリカのポートランドという地域がクラフトビールの先進地域ですが、そこへ行ってびっくりしたのは町の色んなコンテンツとビールが関わっていることです。ブルワリーとその目の前にある廃材センターがコラボして、廃材センターで家具をつくるワークショップをしながら木の香りがするビールが飲めたり、地域の音楽バンドとコラボしたり。

た:ビールは地域の様々な資源とマッチしやすいし、それが重なったときに新しい魅力として映ることがあると思います。南三陸でも牡蠣小屋に行けばオイスタースタウトが飲めて、ブルワリーに行けば地域のワイナリーで使われているブドウが副原料のビールを飲めるというように、地域の資源とコラボしてそれぞれが地域のコンテンツとして輝いていけば、その町を楽しむことができるようになると思うんです。

こ:町にある資源がビールでつながることでより輝きを増すということですね。つながりがあると町を回って歩くのもより楽しくなりそうです。



1番のファンは自分たち





こ:2016年に遠野へ移住してから今までで、1番嬉しかった瞬間はいつですか?

た:やっぱりお店をオープンしたときかなあ。お店をオープンしたときに色んな人が駆けつけてくれて、僕たちの会社で作ったビールを飲んでくれているのを見たときに、やったなって思いましたね。

た:僕たちは自分たちのビールが好きだし、自信をもって提供しています。その代わりに納得できないものは出さないようにしています。でもそれくらい自分たちで自信をもって良いビールだって思えるものを出しているから、誰かに認めてもらえると嬉しいですね。自分たちで自分たちのビールを飲みに、オフの日でもブルワリーへ行くんですよ。

こ:田村さんはもともとビール好きだったんですか?

た:実はそうでもなかったんです。お酒は好きだけど他のものが好きでしたから、そんなにクラフトビールには詳しくなくて。けど、遠野で関わり始めてからクラフトビールって面白いなと思って今はすごく飲んでいます。

た:僕がやっている別の会社は事務所がブルワリーの2階にあるんですね。「ブルワリーの上にある事務所ってめっちゃいいじゃん」って話しています。仕事をしていて夜になったら階段を下りるだけでビールを買って飲めるし、月に4度の醸造の日にはホップと麦の甘い香りが漂ってくるんです。

こ:それは仕事をしながらも至福のひと時になりそうですね。



南三陸ブルワリーの大きな可能性



こ:遠野は地域全体でビールの里構想を掲げていますが、南三陸が掲げているのは「森 里 海 ひと いのちめぐるまち 南三陸」です。南三陸ではどのようなブルワリーが実現しそうでしょうか。

た:これから南三陸でつくるブルワリーのコンセプトには色々な可能性があると思います。ワインと海産物、そこにビールというお酒と食の組み合わせを押し出した美食要素の強いブルワリーか。被災地としてその文脈に何かかかるブルワリーか。町が掲げている循環型社会に関わるようなブルワリーか。可能性はいっぱいですね。

た:まずはそういうコンセプトをきちんと作る必要があります。ブームに乗って、この1年では100件ほどの新しい醸造所ができていると言われていて、ビールの飲み手の拡大以上にブルワリーが増えていると思います。だから、どういうブルワリーにしてそこで何をするかが見えていないと、ビジネスとして成り立たせるには難しいんです。

こ:そんなにたくさんの醸造所ができているんですか。驚きました。

た:そしてもう1つ大切なのが、面で捉えるということです。南三陸の場合は遠野のように面で捉えて地域資源をつなぐようなブルワリーになるといいのではないかと思っています。

こ:遠野ではどのような取り組みを行っているのでしょうか?

た:ビアツーリズムを行っています。ホップ畑でBBQをした後にブルワリーへ行ってビールを飲むなど、地域のコンテンツをビールでつなぐツーリズムを去年から本格的に始動しました。





こ:そういうツーリズムがあると地域の中の人と外の人が交流することになりますね。

た:そうですね。地域の外の人と交流することで地域の人の意識も高まるし、新商品のテストをすることもできます。そして大事なのは、地域の外から人が来ることでちゃんと地域が儲かることです。

た:例えば、最近は地域の酒屋って元気がなくなってきていますよね。遠野でも1年前、ある酒屋さんに、自分もホップやビールを起点にしたまちづくりに参加したいと言われました。そこでビアツーリズムに、ホップの焼酎を酒屋で試飲する体験プログラムを組み込んだんです。その酒屋さんではもともとホップの焼酎を売っていたのですが、注目はあまりされていませんでした。ビアツーリズムで人を呼び、その人たちが商品を買っていく。地域の人はお客さんの反応を見てやりがいを感じたり、次の仕事の参考にしたりする。単にまちを活性化しようと言うよりも、地域の人が積極的に地域のことを考えてくれるようになっています。

こ:きちんと地域に儲けがあることで、地域の人やお店全体でまちづくりをすることにつながるんですね。

た:今は遠野の話をしていましたが、南三陸でもそれができればいいと思っています。南三陸には牡蠣小屋があったり、美味しい海鮮丼のお店があったり、特産の杉を山に行って見学できたり、農業のお手伝いができたり、ワイナリーがあったり、そういう場所がバラバラに存在している状態です。そこに多様性があって自由なビールが入ってそれらをつなぐことができれば、町に行く理由ができるし町全体を楽しむことができると思うんです。



ブルワリーのその先を見つめて





こ:本日はありがとうございました。ホップ畑、ぜひ見に行かせてください。

た:ぜひ。僕らも夏が楽しみです。冬の間にもたまにホップ畑の写真を見返してしまうくらいホップ畑ってやっぱり綺麗なんですよ。ベストシーズンに畑へ行くと、ここで仕事していてよかったなって思える景色が広がっています。

こ:働く人がそう思っているって素敵ですね。それでは最後に、南三陸のブルワリーに興味がある方へメッセージをいただいてもよろしいでしょうか?

た:そんなに簡単な商売でもないし大変なこともあるんだけれど、ホップやビールを起点にローカルの現場でまちづくりをすることは、遠野にとっても日本のビールにとっても意義がある面白い仕事だと思っています。だから応募される方に関しては、いわゆるビールが好きでブルワリーを作りたいというだけではなくて、その先にビールを通じて何がしたいのかとか、南三陸だからこんなことがしたいんだとか、そういうことを聞きたいですね。ブルワリーの先に何を考えどんな想いがあるのかを知りたいし、同じことをやっている1人の人間として議論し合いたいです。そして、一緒に新しいものを生み出したいと思っています。

こ:本日は貴重な時間をありがとうございました。南三陸のビールが町のどんな資源とコラボして新たな価値を生むのか、ビールでつながるネットワークが町をどんな姿へ導いてくれるのか、とても楽しみになりました。

た:こちらこそありがとうございました。



いかがでしたか?

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文=小泉晴香。青森県出身。この春宇都宮大学国際学部を卒業。2017年夏に復興庁が主催する復興・創生インターンで南三陸町に1か月間滞在。きれいな自然や人の優しさ、まちづくりに向け尽力する人たちと出会いこの町に魅了された者の1人。